粗利益の少ないビジネスは生き残れない理由

経営戦略

粗利益を上げることが命題となる

商売を継続していくうえで粗利益は重要な指標になります。

粗利益の少ない商売にしてしまうと、今後生き残るのは厳しくなるでしょう。

それは会社を維持していくためのコストが上がるからです。

集客商品については値引きしてお客様を集めるようにしなくてはいけませんが、全体的には値段をアップする必要があります。

でければ資金繰りはますますキツくなります。

雇用コストは間違いなく上昇する

会社を維持していくためのコストの一番は人件費です。

人件費は今後必ずアップします。

ご存じのように現在は人手不足で、人を雇用するには条件面を優遇しなくてはいけません。

この時点で人件費は以前よりアップします。

そして人件費がアップすれば、それに比例して社会保険料(健康保険・厚生年金)も上がることになります。

正社員の場合はもちろんですが、非正規社員でも1週の所定労働時間および1月の所定労働日数が常時雇用者の「4分の3以上」は加入義務が生じます。

社会保険料は労使折半で給与の約30%の負担になります。

会社分は15%です。

仮に20万円で人を一人雇えば、月に3万円の社会保険料が発生し、年間では36万円の負担です。

30万円の給与を支払うといくら社会保険料が発生するのか?

さらに中小企業は2021年4月より(大企業は2020年4月)、同一労働同一賃金がスタートします。

同一労働同一賃金とは、同じ職務内容なら非正規社員と正規社員で「不合理な待遇差」をつけてはいけないというルール改正です。

つまりこれまでのように「パートやアルバイトだから」という理由で、賃金を低くくても大丈夫とはならないのです。

職務内容が同じなら、非正規社員の賃金を正社員と同一にすることが義務付けられます。

このように人を雇うコストは、今後上昇していきます。

したがってそれを支払っていけるだけの粗利の確保が重要になります。

粗利益と運転資金の関係

ここで粗利がどれだけ資金繰りに影響するか、その一端をお見せします。

粗利益とは売上から仕入れ(売上原価)を引いた金額です。

・売上-仕入れ=粗利益

粗利益の中から人件費や家賃や広告費、経費などを支払います。

そのため粗利が大きいほど、資金繰りは楽になります。

仮に売上が1000万円で仕入れが700万円の場合、粗利益は300万円で粗利益率は30%になります。

・粗利益:1000万円-700万円=300万円

・粗利益率:300万円÷1000万円=30%

ところが商売を回していくには、運転資金が必要になることをご存じでしょうか?

運転資金は簡単にいうと、売掛金などの回収サイトと買掛金の支払いサイトのズレに生じるお金のことです。

運転資金は「売掛金+在庫-買掛金」で求めます。

商売をするには、売って儲けがいくらかを計算することも大事ですが、運転資金がいくら掛かるかも把握しておかなくてはいけません。

運転資金という言葉からもわかるように、この資金が足りなくなると、商売を回していくことができなくなるからです。

そしてこの資金は常に必要なるお金なので、販売代金を回収してもすぐに運転資金として消えてしまいます。

必要な運転資金を求める

ではどれくらい運転資金に回ってしまうかというと、「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」で求めます。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)とは、企業が原材料や商品仕入などへ現金を投入してから最終的に現金化されるまでの日数を示し、資金効率を見るための指標です。

CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)を使って資金繰りを改善

CCCの数値を出すためには、

  1. 売上債権回転期間
  2. 棚卸資産回転期間
  3. 仕入れ債務回転期間

を求め、それを次の計算式に変換します。

・CCC=売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-仕入れ債務回転期間

CCCの詳しい説明は上述のリンク先の記事を読んでいただければわかりますが、仮に

  1. 売上債権回転期間:3か月
  2. 棚卸資産回転期間:1か月
  3. 仕入れ債務回転期間:1か月

とすると、CCCは3か月となります。

3か月ということは売上高の3/12、つまり売上高の25%が運転資金で消えるということです。

運転資金を入れると手元資金は残らない

だから何だという話ですが、これを粗利益率と併せて考えてみてください。

粗利益で稼いだうちの25%が運転資金で消えるということです。

先ほどの粗利益は30%でしたので、手元に残るお金は粗利益のうち5%となります。

この5%以内に、人件費や家賃などの、いわゆる販売費および管理を収めなければ、資金繰りはマイナスになっていくということです。

運転資金まで考えれば、粗利益30%では足りないことがわかります。

さらに人件費の上昇まで含めると、それ以上の粗利益を確保しなくてはいけないのです。

まとめ

運転資金まで考えると粗利益を多く取っておかないと資金繰りが厳しくなることがご理解いただけたかと思います。

そのうえ雇用コスト上昇となるとなおさらです。

値上げすると顧客離れが起きないか心配ですが、値上げしないことにはそもそも商売を継続していくことが難しくなります。

値上げにより粗利益の確保は必須の施策となります。

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